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16世紀に入ると、アントワープは完全に商都としての地位を確立、その金融市場はヨーロッパで最も重要なひとつとなりました。 驚くべきことに、この仕事、ダイヤ関連業者の社会的地位の高さというのは15世紀終わり頃からのことなんですなあ、次のような記述が残っております。 順調に推移する原石輸入量とダイヤ関連雇用者数、Antwerpのダイヤモンド業界は、瞬く間に既存異業種の手工業者やギルドを凌駕することになりました。その繁栄ぶりは、ルドヴィコ・グイキャラディーの有名な『南部10州点描』の中に次のように記されております。 ところで、アントワープと組むホットラインの片側、リスボンのことも記述しないといけませんね。 | ||
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ところでダイヤモンドの輸送には危険が付きものですね。 ダイヤ輸送車はそのあと前後を警備車両にガードされて空港へと向かうわけですが、この厳重警備は当然でございますねえ、毎日毎日世界各地へと出荷されてゆくダイヤモンド、一つの車両には最低でも数十億円が積み込まれているものと推定されますからね。 空港からはどのような経路を辿るのか? 長々と現代の輸送システムについて書きましたが、数世紀前はそんなものあるはずもなく、しからば? 『インドからダイヤの原石と珍品の数々を積み込んだ船が出る。護衛船団を率いるMac Uki提督は、長い冬に耐えねばならぬ北西ヨーロッパの気候にウンザリしていた。こつこつゼニを貯めて南仏コートダジュールにベッピン妻と移り住むという長年の夢を持っていたが、安月給で雇われの身、近頃の物価高で逆に貯金は減るばかり。そこに転がり込んできた“悪魔の囁き”送り狼の話を断れるはずはなかった。船団がリスボンに到着する3日前、Uki提督は速やかに行動を起こし、ダイヤ原石の強奪に成功! メチャありそうな話やね、絶対にこういうのあったと思う! ボンベイからリスボンに着いた荷は、また厳しくチェックされた後にアントワープへと向かうのですが、リスボン―アントワープ間の航路は通常6〜7週間を要したそうです。これらの多くは定期便でありまして、途中にドーバー、カレー、ダンケルクなど数箇所の港に立ち寄ったとのこと。
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しかし、アントワープが研磨において主導的な役割を担うまでは、ヨーロッパの研磨技術もダイヤ原石のオリジナルの姿を大きく変えるようなものではありませんでした。15世紀のフランドル絵画には非常に美しいシンメトリーを持った正8面体ダイヤモンドの詳細な描写がありますが、これは所謂クリスタルの原石をPolishしたものに他なりませんね。現代でポピュラーな存在のエメラルドカットやクッションカットのように、テーブル面をしっかり広く取って研磨して、その裏にパビリオンを作ったというダイヤモンドが恒常的に登場するようになるのは16世紀の前半になってからです。その後すぐに、パビリオンに多数のファセットを研磨したりするものも登場しますが、いずれもアントワープ職人の手によります。いやはやホント驚くべき技術革新ですね。16〜17世紀におけるcutting技術・芸術の発展は、ほとんどアントワープで成し遂げられたものと言っても過言ではありません。 同時期のアントワープでは、カッティング技術の進歩とともに学術的な面からもダイヤを考察していたようで、17世紀、Tavenierは商人でありながら、ダイヤモンドのインクルージョンを研究、クリベージに関して詳細な文章を残しております。いつの時代にもオモロイ人間がいるものですな。 他の地域では、ダイヤモンド加工職人は“Polisher”と呼ばれていたのですが、アントワープでは“Diamond Cutter”と呼ばれておりました。 16世紀のアントワープは文句なしにダイヤ産業の中心地であり、最先端の技術が生まれる中心都市であったということです。 |
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