◆ 現地買い付けレポート 2005年11月 Page: 1 2 3


「自由、平等、博愛。」
これを聞いて何を連想する?

日中韓の東アジア文化圏にはこのような思想はなかったわけで、西欧キリスト教文化圏が発祥の地ですな。

というところで、
皆さんが大好きな‘おふらんす’のことなどを少々。


“人種差別主義者”なんていう舌を噛みそうな言葉は全くなじみがないけれど、
フランス語では“ラシスト”と言うそうだ。
言語というのは面白いもので、頻繁に使う単語ほど短くて明瞭な発音。当たり前のことですわな。それから考えるとこのラシストなる単語、フランス語の中でも極めて古い時代から日常使われてきたものに相違なく、やはり欧州大陸というのは恐ろしいところやなと改めて思わざるをえまへん。

ラシストの差別の対象はかつてはユダヤ人だった。見た目が普通のヨーロッパ人とそう変わりはないユダヤ人たちが何故に差別されたのか?少し不思議な気もするが、彼らが頑なまでに自らの信仰と習慣を守り、キリスト教社会に溶け込む事を拒否したからでありますねえ。

ウッキーはこれまで何度も宗教について語ってきたけれども、それは宗教に対して現代日本人がとことん無頓着なことは世界の常識から考えて全くケタ外れも甚だしく異常であるから、1人でも多くの人に、特に若い人に真剣に宗教というものを考えてもらいたいから、なんですが、一体どうして我々日本人はこんなふうに宗教に対して無知無菌状態になってしまったのか?

やはり信長様やろうね、
織田信長が徹底的に宗教勢力を叩きのめしたせいに違いないね。
彼と同時代の他の親分衆は、寺院の権威をバックに自らの勢力を拡大しようとしていたから天下を取れなかった。逆に言えば、それだけ寺院・仏教勢力というのは強大な既得権益を握り、民衆を縛り、武力と財力を蓄えていたということでもあります。
信長の登場により仏教勢力が大きく衰退し ― 比叡山焼き討ちと虐殺は象徴的だが、今はあまり意識されなくなってしまったね ― 各地に自由な市場が発展し、物資の流通が盛んになり、農民も町人も潤うようになるともう時代は元には戻りまへんな、これからもそうやけども、2度と宗教勢力が日本を席巻するなんてことはあり得ないと思う。

ところが、信長のやったことの副産物で大きかったもの、そして今でも日本人の頭の中に植え付けられている誤った意識がある。

信長は‘守旧派の代表としての仏教’をとことん潰して新しい日本を作るため、ヨーロッパから様々な知識を取り入れた、キリスト教の宣教師を介してね。
キリスト教のミッションは、信長の仏教弾圧を見てさぞや震え上がったことだろう、『下手に布教を始めたら地の果て極東で殉教や』とね。
彼らミッションが賢かったのは、宗教色を薄め、先端技術や最新知識の中に上手く宗教色を煮込んで信長に差し出したこと。さしもの信長様もうまく丸め込まれてしまったね。この後、キリスト教は徳川政権によって禁止・弾圧されるが、信長が容認し(たように錯覚させ)、徳川幕府が禁じたということにより、
現代にまで至る
   キリスト教 = 絶対善
という日本人の大きな誤解があるわけやね。

ホンマ見誤ってはいけない。
自由、平等、博愛というのは、あくまでもキリスト教徒の中での思想である、異教徒には全く適用されない思想なのである。

信仰か戦争かということでは、イスラム教徒の『剣かコーランか』があまりにも有名であるが、同じような事、いやもっとヒドイことを欧州キリスト教国は新大陸やアジアで行ってきたのである。何度も書くが、ローマ法王が世界地図に線を引きいれ、『こっちはスペイン、あっちはポルトガル。好きなように切り取ってきなさい』と言ったのは冗談みたいたがホンマの話である。
ユダヤ人は、そのようなキリスト教徒によって長年“ゲットー”と呼ばれる居住エリアに押し込められ、屈辱的な生活を強いられてきたし、近年ではナチス占領下のフランスにおいて一番苦しい迫害生活を送らざるを得なかった。フランスでは今もユダヤ人の墓地が荒らされたり心無い落書きが絶えないとのこと。

ようやく沈静化したフランスの暴動。
発端は移民が事故によって死亡したことだが、先進国で例を見ない夜間外出禁止令なるものまで出るはめになった要因は、仏内相の『あのクソ野郎どもを早くなんとかしろ』という暴言である。筋金入りのラシスト、そう断じられても仕方のないところやね。このオッサン、元F1ドライバーのジャン・アレジみたいな軟弱フェイスやったけどね。


数年前までは、フランスでラシストと呼ばれようものなら、慌てて否定し、急に言動が穏やかになったそうであるが、最近では『ラシスト』と言われても一向に動じず、逆に『そうだ、私はラシストだ』と開き直る人が増えて来ているとか。そしてこの傾向は、旧植民地からの移民たちがフランス社会に馴染まず、自分たち本来の宗教や習慣を頑なに変えようとしない ― 公の場でスカーフを取らず、フランス語を話そうとしない等など ― ことが目に付くようになったことと軌を一にしているという。

低レベルの日本のメディアは、今回のような事が起こるととかく善悪という視点からの報道しかできないものであるが、カラーダイヤと国際情勢に明るいこのページのヒマ人読者の皆さんはきっとそんなことないはず。宗教というものを今一度深く考える機会ととらえて頂きたいものであります。
ユダヤ人の例を見るまでもなく、ラシストあるいはracismの要因は必ずしも肌の色ではないのである。

信長によって宗教的に無垢な状態にさせられた我々日本人、
全く幸せとしか言いようがないね。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

国際社会で日本ほどつつましく目立たず大人しくしている国はおまへんな、
改めて思う今日この頃。
他国ときたら全く言いたい放題、真面目に聞いているとハラが立って仕方がない、というところで、
今回の“アホらしいてやっとれんわ”シリーズ、

その1、
次の発言は誰のものか?
『日本は自国の独特な文化や歴史を、どのように民主主義に反映させることができるかを示す良い事例だ』

古代文明から数千年の歴史を持つエジプトの大統領やイラクの指導者に言われたなら、
「いえいえそんな、まあ頑張っておくんなはれ・・」
ということになろうが・・・・・
たかだか200年余りの歴史しかないヤンキー野郎が言うなっちゅうねん!!

それにしてもブッシュは京都で何も感じられなかったのかな。1200年の古都の空気に触れていながら独特の文化や歴史云々というような陳腐な表現しかできないのは、あの男の持って生まれた感性の無さか、それともヤンキー野郎ども独自の粗野な思考回路のせいか。
いずれにしても気を使うのは日本ばかり、
ホンマやっとれん。

その2、
中国新華社通信の日米首脳会談への論評、
『日本は米国の妾(めかけ)から愛人へと昇格した』
新華社は国営だ、国の公の発言ということになる、
こんなこと言うてもええわけ?

しかしまあ何たる品の無さだろうね、
ウッキーの出張レポートも真っ青ではないか、
ワシはここまでよう言わん、
新華社の発信文をもっと読んで勉強せんとアキマヘン。
日本側も誰かカウンターパンチ浴びせてやってほしいね、外交責任者でなくなった町村前外相あたりがね。発言内容は以下のような感じで。
“女狂いに付ける薬は無い、今や台湾のスカートの中に手を突っ込もうとしている中国の大砲の先に誰かコンドームの束を被せてやってくれ“

しかし、愛人が妾よりも格上だったとは知らなかったね。江戸時代から戦前までは、妾というのは立派に正妻に準ずる存在でね、今をときめく西武の堤兄弟なんて全員母親が違うのに皆さん立派に遺産を分けて貰っている。こういうのを、ケーシー高峰ドクターによると“胃酸過多”というそうだが。
銭は無くても愛人は持てるが、金持ちじゃないと妾は持てない、というところで妾の方が格上のような気がするのである。
一方、語感としては愛人の方が印象が良さそうだ。その点を考慮したのかなとも思えるね。
But、こんなこと真剣に考えるのはホントあほとしか言いようがないですな。

その3、
これはもうある意味絶叫モノでっせ!
日付を取っておくのを忘れたが、最近の産経新聞の写真入り記事だ。
しっかりとご覧あれ。


文章は大体次のようなもの。
『 ・ ・ ・ ・ ・ 2006年版ロンドン・レストランガイドは、最も人気のあるレストランに日本食の「Wagamama」を選んだ。ラーメンなどの麺類が主力メニューで、価格は約1400円から1600円が中心。店内には長いイスがズラリと並び、若者で賑わう』

ホンマ世も末やで、
シラクに乾杯!!

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2005.07 Cut & Polished in Belgium
2005.04 ルフトハンザで出国
2005.02 オリーブの漬物
2004.11 ベルギーの初冬
2004.9 上手なブラフの使い方?
2004.8 2004アジアカップ
2004.4 ゴールデンウィーク に オランダ を想う・・・。
2003.11 Believe me!
2003.7 Vacances!
2003.5 日本とベルギーの規範
2003.3 ベルギー名物と言えば
2002.9 空港のネーミングについて
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2002.2 ユーロとトラブル
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1999.12 私はダイアモンド業界ではゴルフの世界の尾崎みたいなものだ、といって自己紹介することにしている・・・