◆ ベルギー カラーダイヤモンド買い付けレポート 2004年4月 Page: 1 2 3


最近の経済指標は景気の本格的回復を期待させるものが多いが、そんな中で一番インパクトのある“経済ニュース”は“変態エコノミスト・植草某”の逮捕だろう。
以前からエコノミストやアナリストの見解には大いに異を唱えていたウッキー、しゃなりと賢ぶって『日本経済? アキマヘン、かなりの財政投入しないと・・』なんていうようなネガティブ発言を繰り返していた植草某、どう考えてもア奴は日本経済にとって最悪の存在だったと思う、やっとこれで奴の悪影響が消えると思うとホッとひと息だ。
まあしかし、あんな変態野郎の発言をまるで神の御宣託のように聞いていた為政者やマスコミ、そして変態植草をのさばらしていた他のエコノミストやアナリストは大いに反省すべきだろうが、どこからもそのようなことが聞こえてこないのは一体どういうわけか?
政治屋やマスコミ、エコノミストやアナリストのクソ野郎たちには植草某のお仲間が多いのか?!
ちょっとここで女性読者の皆さんに聞いて欲しいのだけども、あんな変態野郎と我々ノーマルなスケベとを一緒にしないでもらいたいのである。
変態とスケベとの違い、この線引きはどこにある?
スケベの武器はあくまで自分が生まれ持った体のみ、口説くのも実際の行為も両手両足+口&頭(ボキャ)、そして男性的or紳士的というエッセンスを加える、これがスケベだ、
ほとんどの男がこれに該当する。
しかし変態というのは、植草のように小道具を使う、手鏡を使ってスカートの中を覗き見る、行為の時に器具を使う、そして植草のように電車の中だろうが何処だろうがお構いなし、etc・・。こんな植草のような女性の敵は世の男性の1%にも満たないというのをどうか御理解頂きたい。
植草く〜ん、ネガティブ予測で有名だったキミ、変態行為を繰り返しながら自分がとっつかまるというネガティブ予測がどうして出来なかったのだろう? ウッキーはそれが不思議で不思議で仕方がないのであるが。もう世の中には不要なキミ(かなり以前から不要だったが)、今ごろは留置場で将来の自分の財布の中身を予測しているのかな。
ご苦労さん。

・・・


さてさて、ウッキーの前回の買付けは3月の末頃だったのであるが、
今まで出張レポート書かずに何してたって? すんまへん、好き放題やっているようで忙しい時もあるのです、そう言えばこの前のレポートも年末に慌てて書いていたような・・・、こんなことが習慣になるようではアキマヘンな、 えーと、まあ、とりあえず、気を取りなおしてアントワープ日記を。

カラーダイヤと言えば日本ではウキ氏(ホンマか?)であるが、AntwerpではもちろんL氏だ。両雄並び立たず、と言われるが
全くその通りで、流石のウキ氏もL氏には歯が立たない、意味が違う? ホンマ情けないことに格が違いすぎてL氏の弟子にもしてもらえないウキ氏だが、今回はちょっとレクチャーを受けてきた。

ウキ「日本ではあまり大粒のカラーダイヤが見られへんけど、やはりアンタたちは何かの理由でそのようなものを欧米に売らんとアカンのか?」

「確かにその通りやな、しかしその前に歴史の重みを知ってもらいたい。20世紀の初頭、南アフリカで巨大なダイヤ鉱脈が発見された時、いち早くそれに目を付けたDeBeersはそれまでに貯め込んで来たカラーダイヤの在庫を処分、それによって得た資金でもって南アの鉱脈を開発したわけや。その在庫の受け皿となったのがカルティエ、ヴァン・クリフ・アンド・アーペル、ハリー・ウインストン、ティファニー等の現在でも有名なブランド店。やっぱり長年のお得意先やからねえ」

ウキ「なるほど、老舗の力か、約100年前のこととは言え、日本では明治政府が富国強兵、和魂洋才と言うてた頃、ダイヤモンドなんてとんでもなかった。しかし、ブランド店が当初からカラーダイヤを今のように高価な値段で販売出来ていたとは思えんけどね」

「何をおっしゃるウサギさん、ではなかったウッキーさん、20世紀と言えば戦争の世紀、戦争となれば買っても負けても超インフレ、お札なんてトラック一杯持っていても二束三文になりかねん、そんな時に金(ゴールド)とダイヤは強力な武器や、戦争が始まる前に欧米の金持ち連中は我先にとコレクションしまくったのは常識中の常識やないか」

ウキ「すんまへん師匠、全く勉強不足で恥ずかしい」

「アホか、勝手に師匠と呼ぶな、君なんぞ弟子にしたらワシの値打ちが下がってしまうわ」

ウキ「そんなこと言わず・・・、もう少しご指導を・・」

「何や、言うてみい」

ウキ「歴史の重みはよう解りましたが、現在は世界的にデフレ傾向、そんな中でカラーダイヤだけが何故こうもフィーバーしているのか、ちょっと不思議な気もしますが」

「確かにな、その火付けとなったのは1986年やろうね。クリスティーにおいて − これは言うまでもなく世界で屈指のオークションやな、キミ等がやってるようなチマチマしたどこぞのオークションとはわけが違うぞ − 0.95カラットのREDが88万ドル(約1億円)という当時としては法外な値段で落札された。この瞬間から世界経済の動向に全く関係なくカラーダイヤの値段は継続的に上昇を始めることになったわけや」

ウキ「でもねえ、そんなものは特殊なアイテムでしょ、我々がやっているような商品はREDならせいぜい0.1カラット、Fancy Pinkなら0.5カラットくらいまでの所謂エコノミークラス、100万ドルを越えるようなファーストクラスとは話のレベルが合わないと思うけど・・」

「キミねえ、ホンマにもう、ダイヤの知識だけやなしに経済の知識もサッパリやな、もういっぺん大学へ通いなさい」

ウキ「スンマヘン、大学では遊んでばかりだったので・・・」

「ウチの息子が日本の大学生はレベル低すぎると嘆いとったが、こりゃホンマどないしようもないな」

ウキ「息子さん日本にいてはりますのか?」

「今のところは一応Professor of Kyoto Universityじゃよ、ハーバードかスタンフォードに移るまでの腰掛けじゃが」

ウキ「それってひょっとして・・京大教授ってこと? ホンマに? 京都〇△大講師ちゃいまんのか」

「どつくぞ、アホ、もう帰ってええぞ」

ウキ「ゴメンなさい、天才数学者のお父上、あと少しだけ」

「はよう言え、ワシはこれからArgyleのやつとミーティングがあるんや、それが終ったらクラシックのコンサート、そのあとコレ(小指を立てる)とディナー、もう寝る間もない忙しさちゅうのを解かってくれ」

ウキ(思わず湧き上がる殺意をグッと堪え)「先ほどの続きをお願いします」

「なっ、何やったかな」

ウキ「経済がどうちゃらと・・」

「そうそう、let's see, 需給のバランスによって値段が決まるというのは当たり前やけども、それ以前に、あるアイテムの量的不足というのは需要の状態によるところが大きい、という経済原則を忘れたらアカンね」

ウキ「何ですと? ピンときまへんな」

「Let's sayピンク系ダイヤに関して言えば、REDが法外な値段で取引されたことでVividやIntenseのものに関してもそこそこの値段が付いてくる、そうするとそのようなニュースを知った一般消費者がピンク系ダイヤを求めて動き始めるのは時間の問題というわけやな」

ウキ「ということは・・、あんた達の演出により意図的にそのような状況を作り出して来た?」

「ちょっと判ってきたようやな、待ってたらいつになるやら分からん、マスコミを利用してド派手にトッピンの落札を報じる、そのようなイメージ戦略から始まった現在のカラーダイヤブームや。凄い需要に企画した我々もビックリというのが本音やね」

ウキ「あんた達が企画してくれなかったら日本でも大した販売高にもならんしね、功績を認めないわけにはいきませんが、ちょっと何か踊らされているみたいでムカつきまんな」

 「常に日本人はそういう役回りや、この50年はな」

ウキ「そうはっきりと言われるとやりきれまへんが」

 「でもな、お世辞言うわけやないけども、カラーダイヤを購入する人ちゅうのはやっぱりセンスあるでえ」

ウキ「なんですか、いきなり」

 「いやいや、データを見ると、ホワイト系とカラーダイヤ系の量的なものはどれくらいかと言うと、何と何と、1万対1や。ダイヤの結晶構造に偶然取り込まれた別の物質の原子がダイヤに作用して独特の色あいを出させる、これがカラーダイヤなんやけども、こんなこと知ってて買う人はほとんどおらんやろ。知らんけども何か神秘的なモノを感じてカラーダイヤを選ぶわけやからセンスがあると言うわけや」

ウキ「流石にこの道一筋40年の方の言葉は重みがちゃいまんなあ、最後に満員の観衆に一言お願いします」

「おおっ、なにやらヒーローインタビューみたいやな、乗ってきたぞ」

ウキ「六甲おろし、行きましょか」

「今年は弱いらしいな、息子が喜んでたわ、あれが勝つと煩うてしゃあないからってな」

ウキ「何いうてまんねんな、アレが勝つと景気が上昇するちゅうのがはっきりしてまっせ」

「まあええわ、閑話休題。実はな、世間はまだあらゆる色彩のバラエティーに富んだカラーダイヤを入手出来るということに気付いてないのやな」

ウキ「な、なんですと?」

「そんな大そうなことでもないが、ピーチ、シャンパン、メロン、コーヒー、グレイ等等、まだまだ紹介できる色があるというのを意識しておいてください」


まったく持つ者の強みとでも言うのだろう、L氏の在庫はいつになく高かった、しかし買わねばならぬこの悲しさ、アーガイルのブローカーの商品が充実していなければL氏から買わないととても量的に足りないという現実があるのだ。
L氏のブルーダイヤを見ていた時、ピンセットの先で飛ばしてしまって行方不明、Sを始め全く見知らぬ客まで巻き込んで捜しまわったがなかなか出てこない。Sが何気なくウッキーのツールケースを覗いたらホンマにその中に飛び込んでいたのだった。Sもいらんことしおってからに。

 

――― 続く ーー
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2005.07 Cut & Polished in Belgium
2005.04 ルフトハンザで出国
2005.02 オリーブの漬物
2004.11 ベルギーの初冬
2004.9 上手なブラフの使い方?
2004.8 2004アジアカップ
2004.4 ゴールデンウィーク に オランダ を想う・・・。
2003.11 Believe me!
2003.7 Vacances!
2003.5 日本とベルギーの規範
2003.3 ベルギー名物と言えば
2002.9 空港のネーミングについて
2002.5 ワールドカップ
2002.3 ひな祭り
2002.2 ユーロとトラブル
2001.12 プリンセス雑感
2001.11 ニューヨークの思い出
2001.9 不景気とは
2001.7 女子テニスプレーヤーというのは宝石だらけで戦っている・・・。
2000.4 ファンシーカットの好みは各国でかなり違うようだ・・・。
2000.2 天然の物が相手になるがゆえのつらさ、というのが常にある。
1999.12 私はダイアモンド業界ではゴルフの世界の尾崎みたいなものだ、といって自己紹介することにしている・・・