◆ 現地買い付けレポート 2003年5月  Page: 1 2 3 4


5月13日、
ピンクのメレダイヤを買わないといけない今回の出張なんだけども、なかなか良いロットにあたらない。仕方なく究極のセレクション、100個の中から3,4個選ぶという激しい作業に入る。もちろんメレが10個や20個では商売にならないから合計で20カラットとか30カラットになるまで作業を続けるわけだ。目の疲労はそうでもないが両手両腕が強張ってくる、なんせ一つが0.01〜0.03crt、平均0.02crtとしても20カラットになるには1,000個必要なのだ、約30個から一つというようなセレクションだから単純に考えても3万回のピンセット上げ下ろしだ。じっくり見てる時間はない、とにかく高速回転、一秒間に2,3個というペース、達人ウッキーならではトッププロの腕の見せどころ。でも、皆さん、一回の買付けで何万個というダイヤを見なければいけないバイヤーの苦労を少しは考えてくださいね、決して楽しいわけではないのですよ。

イメージ画像 5月14日、
今回のL氏の“スーパー”は、
0.47crt Fancy Vivid Blue Green VS2
いつもながらの美しさ、形容できないほどのBeauty。
形は弊社の持っているFancy Vivid Blueとほぼ同じような感じのクッションカット、
お値段は、$150,000/crtだそうです。

Price/crtを聞くと、そんなもんかなと感じるが、万が一にこれを日本に持って帰って販売するとなると安く出しても1,000万くらいか、そう考えると何となく高いんじゃないのかなあと感じるねえ、いずれにしてもあまり関係なさそうだけども。

いつも宿泊しているCarlton Hotel(リッツじゃないよ、念のため)、今日は日本人観光客で一杯だった。
朝7時過ぎ、レストランに行くとビュッフェカウンターの前は黒山の人だかり、入り込む余地なしとあきらめて15分くらい待った。ほとんどが60代70代のシルバーカップルなんだけども、最近のこの年代の人たちはホント元気やねえ、高齢者という言葉が余り似つかわしくないように思える。特に会話したわけではないけども、今日もしっかり朝飯(?)、いや朝の食事摂った後いろいろと歩き回って写真撮って土産買って・・と精力的に動き回るのだろうというのが容易に想像できる。
ベルギー名物と言えば、チョコレート、そして・・・というのは前回の話だったけど、
・・・の前に「フランダースの犬」というのもあったな、舞台は紛れもなくアントワープ。
確かパトラッシュとかいう名前だったと思うが、賢い犬やったねえ、このお話がポピュラーになった後は日本で捨て犬が減ったという統計があるそうだが・・(ホンマか?)、
これに関しては最初の頃に書いた通りで、ベルギー人にはほとんど知られていない英国人創作の少年少女向けストーリーである。考えてみれば、江戸時代や明治時代の同じような話も多いわけで日本人にとって馴染み深い話、舞台をイギリスやフランスにせずにベルギーとする事でなんとなく実話っぽくなっている、そんなわけでアントワープの犬、ではなかったな(それはアンタや、と誰かに言われそうだが)、「フランダースの犬」所縁の建築物は日本人団体客が絶対にはずさない必見スポットらしい。Sいわく『アンビリーバボーや、日本人観光客のお蔭でフィクションがノンフィクションになってしもた・・・』
今度時間のある時には久しぶりにそのあたりをうろついてみようか、
“パトラッシュ饅頭”と“フランダースせんべい”を買ってくることにしよう、
抽選で皆様にプレゼントします、ご希望の方はメールを。
それはともかく、れいの大聖堂は素晴らしい。
何度も足を運んでいるけども、西洋建築の粋を集めたというに相応しい規模と重厚さ、大きなステンドグラスとパイプオルガンを目の当たりにして、ふと時間が止まるのを感じたのはウッキーだけではあるまい。しかしながら異教徒、異邦人の悲しさか、30分も中にいるとムネヤケがしてくるのである、毎度のことだから絶対に間違いないと思うのだけども、やはり何か相容れないものが漂っている気がする、ウッキーは決して霊感の強い人間ではないが、というよりもその種のモノは全く苦手、心霊写真がどうのなんてテレビでやっているのを見た日には眠れなくて困ってしまうくらいなのだ。大聖堂は約800年ほどの歴史か、数々の血生臭い出来事の証人であるようなヨーロッパの教会というのは普通の日本人が安易に立ち入るべきところではないのだろう、という気がする。
とは言うものの、ベルギー人が宗教に関して非常に真面目なのかというと決してそうではなさそうだ。Sはユダヤ人だから当然ながらユダヤ教徒 ― ユダヤ人というのは母親がユダヤ人でユダヤ教を信仰している人のことを言うのであるが ― でも、Sの宗教に対する姿勢というのはウキ氏となんら変わりがない、むしろ定期的に神社やお寺にお参りするウッキーの方がよほど宗教的だと思うし、キリスト教徒に違いないであろう多くのベルギー人の宗教的な行動もそうそう日常見るというわけではないからだ。
しかし、絶対的な唯一の神を信仰しているという点ではユダヤ教もキリスト教も同じ、そのようなところから日常生活の“規範”というものがしっかりしていることは我々日本人とは完全に違う。時代によって物事の判断の基準があっちにぶれ、こっちにゆきしている日本人に一番足りない点だろう。
そんな視点から少し見つめたいと考える今回の出張。

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◆ Back Number ◆
2005.07 Cut & Polished in Belgium
2005.04 ルフトハンザで出国
2005.02 オリーブの漬物
2004.11 ベルギーの初冬
2004.9 上手なブラフの使い方?
2004.8 2004アジアカップ
2004.4 ゴールデンウィーク に オランダ を想う・・・。
2003.11 Believe me!
2003.7 Vacances!
2003.5 日本とベルギーの規範
2003.3 ベルギー名物と言えば
2002.9 空港のネーミングについて
2002.5 ワールドカップ
2002.3 ひな祭り
2002.2 ユーロとトラブル
2001.12 プリンセス雑感
2001.11 ニューヨークの思い出
2001.9 不景気とは
2001.7 女子テニスプレーヤーというのは宝石だらけで戦っている・・・。
2000.4 ファンシーカットの好みは各国でかなり違うようだ・・・。
2000.2 天然の物が相手になるがゆえのつらさ、というのが常にある。
1999.12 私はダイアモンド業界ではゴルフの世界の尾崎みたいなものだ、といって自己紹介することにしている・・・