◇◆  ファンシー ストーリー第17話  ◆◇


『 久方のアメリカ人のはじめにし
        ベースボールは見れど飽かぬかも 』

                      正岡子規

桜の季節を迎え、花粉症の方もそうでない方も頭がボンヤリ、
なんていう日々じゃないかと推測しておりますが、
皆さん如何お過ごしでしょうか。

季節だけではなく、世の中の移り変わり激しい昨今、いつまでも先月の出来事に拘っているわけにはゆきませんけども、


祝WBC制覇!!
たかが野球、されど野球、
野球にあれほど興奮できるとはね、
私自身もそうですが、同じように自分自身を冷静に振り返った時に笑えてきた方も多いのではないでしょうか。
いやしかし、ホント凄かった王Japan、
色々あっただけに劇的イメージでVの瞬間が目に焼き付きました。

というところで、今日はファンシーなストーリーいっぱいの野球の話を少々。

・ ・ ・

今あらためてWBCの熱戦を振り返りますと、
優勝のドラマは、れいの‘タッチアップ’から始まったと言えるでしょうね。
もう怒りを通り越してどうしようもない脱力感に襲われた判定でしたが、あれがなければ優勝の感動もさほどでもなかったような気がしてきます。

日本代表がキューバを破って国中が沸きに沸いていた頃、何気なく手に取った歌集に載っていた歌なんですけども、

『 タッチアップなど分かっているのか
             神宮で原を観ている君のまばたき 』

                         黒岩剛仁

固有名詞が2つも出て来る歌というのは結構珍しいのではないかと思われますが、それ以上に、‘タッチアップ’なんていう野球用語でも極めて専門的な単語が使われているというちょっと特異な歌ですね。
原というのは現ジャイアンツ監督の原タツノリですわな、ウッキーと同級生でございます。まったくねえ、高1の時から『 何で同じ高校球児の中にこんなスーパースターがおるんや! 』と思っておりましたがね、今でも奴は十分カッコよろしいな、ホンマ同級生では群を抜いておる。
作者の黒岩氏が詠んだのは、原が大学生の頃に神宮でプレーした時のものなのか、それともプロに入った後、ヤクルト―巨人戦の時のものなのか、それははっきりとしませんが、ウッキーは何となく学生のタツノリを想像しております。歌のトーンが若々しくて、周りが華やぐようなイメージを感じますのでね。それに、なにやら選手の表情までクッキリ見えるような気がしますからナイターではなくて昼間のゲーム。
大学野球、春のリーグ戦、かな?

歌のイメージをダイヤにすると、
Fancy Light Yellow Green VS2 ペアシェイプ、
そんなようなものをフッと頭に描いてしまいました。

この歌は多分、原が3塁ランナーで、タッチアップでホームを狙ってクロスプレー ・ ・ ・ タッチ、OUT!
そんなシーンの直後に感じたものじゃないでしょうか。
原というのはね、悔しがる表情が絵になるやつで、そういうところが年下の男どもに人気があった理由なんですけども、黒岩さんの彼女もきっと“まばたき”しながらウットリとタツノリを眺めていたのかもしれませんな。もちろん‘まばたきする君’と原との接点はなく、生きている世界も相当違うだろうけども、それでもしかし、作者は彼女の‘まばたき’が非常に気になって仕方がない、
いろんな思いが交錯する春の日差し、
よろしいなあ ・ ・ ・ 。

最近ではあまり言われなくなったような気がするのですが、
野球場の4つのベースで囲まれたエリアは通称‘ダイヤモンド’。
ランナーが塁を埋めたあと、長打が外野の間を抜けていった時、『 走者がダイヤモンドを駆け巡り ・ ・ ・ 』などという実況をお聞きになったことがあるかと思います。

『 今やかの三つのベースに人満ちて
           そぞろに胸のうちさわぐかな 』

                    正岡子規

胸の鼓動が聞こえそうな歌ですね。
正岡子規の野球好きは有名な話で、皆さん方も良くご存知のことと思いますけども、彼自身も好プレーヤーであり、野球を広め、「打者」「走者」「四球」などの野球用語の日本語訳もやっております。そんなところからbaseballという英単語を‘野球’と訳したのはこの正岡子規だとばかり信じこんでおりましたが、実は違うんですね。
ネットのフリー百科事典“ウィキペディア” −ウキペディアではございません残念ながら、そのうちにホンマにUkipediaを出版しますのでその折はよろしくお願いします、メチャメチャええかげんなモノだと思いますが − を見てみますと、
東大の野球部員だった中馬庚(ちゅうまん かなえ)という学生が、1894年に卒業にあたって部史を刊行する際に初めて使ってからということ。

多くの人が訳者を正岡子規と思い込んでいるのは、升(のぼる)という本名だった子規が、中馬クンが訳する前から自分のペンネームを野球と書いて“ノボール”と読ませていたことに端を発しているらしいですな。
そういう彼の野球を詠んだ俳句と短歌を更にいくつかご紹介しましょう。

『 恋知らぬ猫のふり也球あそび 』
明治時代というのは野球やってる学生諸君たちは女性にモテなかったのか??
それともモテない奴等が野球やってたのか?
野球が面白くて面白くて女に目を向けるなんてことを全く思わなかったのか?
いやいやそんなことはないはず、
女の子の見てないところでハッスルプレーが出来るわけないし、
グゎ〜ンと飛んでくる速球をガコーンと打ち返した時のカッコ良さ、そしてそのギューンと飛んで来た火の吹くような打球を横っ飛びに捕らえた時のスッキリ感はいつの時代の女性をも魅了するはずでございますね。
女の子に見てもらいたいがために野球やっているのではない(実はそうなのだけども)という硬派のところを見せたいけども、かと言って一心に野球に打ち込んでいるという姿をあからさまにすることも何か照れるような・・、文武両道・正岡子規の複雑な心境が何となく理解できそうですね。
心のトーンは、Fancy Light Purplish Pink

『 球うける極秘は風の柳かな 』
この句は何となく外野手を想像しますね。左中間右中間に上がった大飛球を難なくさばく新庄とかイチローの姿をね。新庄の守りというのは恐らく世界一だと思いますが、彼の凄さはファインプレーがファインプレーに見えないというところ。風に乗ったかのようにいつの間にやら打球の下にいて長〜い手足でもって飛球を手繰り寄せてしまっている。
そういう名手と言われる人を詠ったものですね。
風を感じ、空の青さとシンクロしているLight Blueのイメージです。

『 夏草やベースボールの人遠し 』
『 草茂みベースボールの道白し 』

これらはやはり季節は夏、梅雨が明けたあとの日本の夏、キンチョウの夏。
高校生の時、夏の練習が辛くてね、元高校球児に聞いたら100%同じ答えだと思いますが、グランドが日差しの照り返しで真っ白に見えるわけです。打撃練習の時に外野で守っているとホームベース付近やマウンド付近に

氷上のプリンセス
いる部員がやたら遠くにいる感じでね、 そして時に目眩じゃないですけどもクラッときたりね。そういう時に鳥が視界を横切ると打球と間違えてハッとして急に正気に戻ったりする。辛く厳しい日本の‘野球道’ですな。
しかしそんなことも今となれば良き思い出、遠くに見えるダイヤモンドは、
Fancy Intense Orange Yellow、ワオッ!
立っているだけでクラクラ、太陽のギラギラが網膜を焼いてしまいそう?!

『 九つの人九つの場をしめて
        ベースボールの始まらんとす 』

子規が野球を題材にした句や短歌を詠んだのは明治30年前後、1890年代ですからもう既に100年以上経過しておりますね。その時代の野球と進化した現代野球とはかなり違うのではないかと思われますが、子規の胸の高鳴りが十分すぎるほど伝わってくる新鮮さとVividな野球場の雰囲気です。

球審が右手を上げてプレイボールを告げる直前というのは一種異様な雰囲気です。ピッチャーが投球練習を終えて、キャッチャーがセカンドへ送球して、ボールが内野を一巡する、この短い時間の間に急激なテンションの高まりがある。自分の定位置へとゆっくり歩むプレーヤーは足が地に着いてないような何か下半身がとても不安定なような変な気持ちですし、プレーヤーでなくとも、今回のような本格的な国際試合というのは初めてだっただけに、アメリカ戦とか韓国戦の1回表先頭打者が打席に入ろうかという瞬間はテレビの前の我々も胸キュンだったですね。
あの緊張感、ダイヤで表わせばFancy Deep Pink
言い表せないワクドキ感?!

『 国人ととつ国人とうちきそふ
         ベースボールをみればゆゆしも 』

審判に代表されるような“アメリカ人の歪んだ愛国心”がクローズアップされたり、韓国チームの一部のプレーヤーの“幼稚な愛国心”というのも見ていて非常に見苦しく感じましたが、やはりああいう場所とsituationに置かれると国家とか国民の品格がそのまま出るものなんだなと思った人も多かったに違いないでしょう。
フェアプレーとかスポーツマンシップとかいう言葉は全て欧米から来ておりまして、日本語にはこれらに相当するような言葉は恐らくないはず、武士道の精神に則りフェアにプレーするのが当然であるからです。欧米はそうじゃない、フェアプレーしない奴が多すぎるからいちいちスポーツマンシップだの何だとと言わないといけない、ということが明々白々。
しかし野球以外のところで日本人の愛国心を置き去りにした“あさましいcommercialism(商業主義、営利第一主義)”に走る姿が露呈したのは実に悲しむべき事でした。決勝戦を独占中継した読売系テレビは驚くべきことに冒頭の君が代演奏をCMのために割愛、ゲーム中はウンザリするほど延々と同じCMを流しつづけ、果ては表彰式での優勝トロフィー授与の直前に中継をブチ切ってしまうという国家・国民と視聴者を完全に蔑ろにした姿勢、これには本当に呆れてモノも言えなかったですな。こういう態度は即ち、中国と商売したいばかりに中国指導者の尻馬に乗って首相の靖国参拝を声高に非難する財界人の言動と一本線でしっかりと繋がっているわけで、誠に憂慮すべきことと言わざるをえません。

でも、そういう醜い日本人の姿を補ってあまりある日本代表の爽やかな姿、そしてホント王Japanの面々の気高く戦う魂は見事でした。
彼らの武士道精神に誇りを感じましたね。

さて、
その日本チームをプレーと精神面と両方で力強く引っ張ったのが言うまでもなくイチロー!
彼のこれまで見せたことのなかった笑顔や大きなジェスチャーに最初は戸惑いながらも大いに感動させてもらいました。
どこまで行っても求道者のイメージが強かった彼がどうして変わったのか?
『 春風やまりを投げたき草の原 』
重苦しい雰囲気を払拭しつつある彼、WBCの時のような野球少年の顔でプレーし続けてくれたら、きっと通算4,000本安打も視界に入ってくることでしょう。

そのイチローがとっても気にかかる言葉を発しております。
『 (WBCが始まった)当初は目でボールを見ていたが、だんだんと身体で見るようになってきた、これが本来の姿・・・ 』

な、なんと、イチローは一体いくつの目を持っているのでしょうか、足とか腰にも目が付いている?!
なんていうつまらないことは言わないでおきましょう。
イチローは時々このように独特の‘ひらめき’からのひとことで我々を考え込ませてしまうのですが、これを天才ならではの名言として雛壇に飾っておくことはあまりにも安易。確かに我々凡人は、どれだけ打撃練習しようとも身体でボールを見れるようにはならないけれども、そのイチローの感性を感覚的に理解しようと努めることは非常に有益ではないでしょうか。
イチローは“感じろ”と言うてるわけですよね。

本題に入る前に、そもそもストライク、ストライクゾーンというのはどれくらいの範囲なのか皆さんはご存知かどうか、お聞きしてみたいと思います。少し話が回りくどくなりそうですが、いつものことやから辛抱してください。
『 何を今さら、毎日毎日テレビで野球見てるわい 』と思っておられる貴兄、ホンマにあなたの知識が正しいかどうか、しっかりとご確認を!

野球規則 2.73  STRIKE ZONE「ストライクゾーン」 − 打者の肩の上部とユニフォームのズボンの上部との中間点に引いた水平のラインを上限とし、ひざ頭の下部のラインを下限とする本塁上の空間を言う。このストライクゾーンは打者が投球を打つための姿勢で決定されるべきである。

法律でもあるまいに、ルールブックの記述はホンマ解りにくいね。
要するにどういうことなのかとご説明申し上げますと、
打者が突っ立っているような姿勢とか、わざと低く構えたりバントの構えをしたりとかっていうような姿勢では判断されないということがまず第一。どんな姿勢を基準にストライクかボールの判定をされるのかと言いますと、打者がバットを振り出してまさに投球を打たんとする瞬間の姿勢ね、新聞の写真なんかでよくありますね、バットとボールが当る瞬間の力感溢れるスウィングの様子、あの姿勢で判断されるということなのです。その高さの上限は腰と肩の中間あたり、胸のマークが目安で、下限は膝下。そしてその範囲にスッポリとボールが入っていないといけません、その部分(範囲)に少し入るくらいではダメ。これが高低の基準です。
左右はホームベースの範囲を少しかすめるだけでもOKなんです。MLB(アメリカ・メジャーリーグ)なんかでは腕の長い奴らが目一杯踏み込んでバットを強振してくるために、かなり外側、ボール1個分ほど外れていてもストライクとしているようですね。

下の写真をご覧あれ。



近鉄時代の中村ですが、
一番左の構えでの膝から胸のマークまで、そしてインパクトの瞬間の同じ範囲ではかなりの違いがある事をご確認いただけたのではないでしょうか。

次に皆さんに問題です。
“イチローは選球眼の良い打者である。”
これは○でしょうか、それとも×でしょうか?
選球眼とは普通、ストライクとボールの見極めのこと言います。ですから、選球眼が良いというのは、ボールゾーンの球には手を出さないということですね。

野球界には『 好打者は選球眼が良い 』というジャイアンツV9時代に作られてしまった誤ったセオリーがありまして、それに縛られている多くの野球解説者がイチローの選球眼が良いと思い込んでいるけれども、全くそんなことはないのです。なんせイチローはオリックスというマイナーなテレビ中継もロクになかったような球団にいてメジャーに行ってしまったのですから、解説者諸君はほとんどイチローのバッティングを結果だけしか知らないわけなんですね。実際、イチローはオリックス時代にワンバウンドになった完全な投げ損ないをライト前ヒットしたこともあるわけで、そのようなことを知らず、あまりに無知でアホな解説のMLB中継しているNHKのBSに文句言ってやったことがあったのですけども、その翌週にしっかりとアナウンサーが“何でも打つイチローの真実”を述べておりました。

ここにイチローの言葉の本当の意味があるわけですね。

イチローは故仰木監督に見出されて世に出てきたのですが、仰木氏が監督に就任するまでの2年間は誠に不遇だったのです。
Why?
とことんボケカスな監督のせいです。
イチローが高校卒業して入団した時のオリックスの監督は、往年の名二塁手としてV9を支えた元巨人の土井。
ジャイアンツのことを今でも‘巨人軍’と言っておりますけども、これは実に不思議な、人によっては実に不快な呼称でありますね、プロ野球の球団がなんで‘軍’やねん!? 巨人は‘軍規’のようなルールで厳しく選手を管理することによりV9を達成したからなのでしょうね。この‘軍隊’は、長島と王(ON)以外には個性は不要と決めつけ、ON以外の打者には自己犠牲の精神のもとにチームプレーと言う名のもとに100%川上監督の望むプレーを求め続けたわけです。
柴田、高田、土井、黒江、末次など等、ONの活躍をバックアップした名脇役たち、彼らは皆同じ表情で打席に入って同じフォームで打っておりましたな。
この川上巨人V9式“管理野球”の優等生である土井がイチローに何を強制したか、もうこれは半端じゃない理不尽ですね。一世風靡したかの有名な振り子打法にイチャモン付けたわけですが、
『 その変な打ち方ヤメロ、でないと俺はお前がどれだけ2軍の試合でヒットを打とうが上では使わない 』
と言ったそうです。えっ、ウソやろ、と耳を疑うようなホンマの話でございます。
このクソ監督のせいでイチローが世に出るのが2年も遅れることになったのは誠に残念、彼の生涯ヒット数は最低でも300本くらい減ったことになります、ホンマにこのクソ土井、お前の罪は大きい!

日本の野球の変遷を見ていきますと、次の5つに分かれると思われます。
 1.正岡子規から沢村英治らの創世期
 2.鉄腕・稲尾、物干し竿・藤村らの自由奔放豪快野球
 3.V9川上監督の管理野球
 4.90年代、データ重視の野村・ID野球
 5.イチローに代表され、ロッテの西岡やソフトバンクの川崎らが後継として受け継ぐ
   “感性の野球”

日本の野球の発展にとって不可欠なものであったのかもしれませんけども、
管理野球とID野球は選手の個性と感性を殺してしまいかねないものであり、それらに対するアンチテーゼとしてイチローの“感性の野球”が生まれたものと思われます。

管理野球や野村ID野球では、監督やコーチがやたらうるさく『 高目のボールに手を出すな、低めの変化球はゴロになって併殺になりやすいから気をつけろ 』ってなことを言う。
皆さん、テレビを見ていてお分かりかと思いますが、プロのバッターは真中の球を必ずヒットしていますか?低めや高目の球でいつも討ち取られていますか?
決してそんなことはないはず。
管理野球やID野球の優等生はたくさんおりますけども、それらに合わないイチローを始めとする“感性”のプレーヤーの方が格段にプロとして魅力的でありますし、実際に現代野球を引っ張っていっていると思います。

イチローは、キレの良い変化球がコーナーに来ようがストライクゾーンから大きく外れてようが全く関係なくヒットにしてしまう反面、ど真ん中をよく空振りしたりする。
これは何故か?
タイミング、投球との間(ま)の取り方の問題です、コースや球種はほとんどと言っていいくらいに関係がない。
21世紀の打者は、タイミングを合わせるために打者は努力を重ねます。自身の感覚を投手の投球動作とシンクロするように努めるわけです。
早い話が、教えてもらって出来る事ではない、自身の感性で掴み取るしかない世界ですね。

個性を殺す管理野球のナンセンスはもう言わずもがなですが、野村ID野球も既に時代遅れですね、データに頼って野球しているのは今や高校野球レベルです。
現代は低めの変化球全盛時代ですね、フォーク、チェンジアップ、ツーシーム、シンカー、スライダー ・ ・ ・ 、真っ直ぐの力のあるボールで真っ向勝負というシーンが以前に比べて少ない。投球のほとんどが変化球ということも良くある話で、こうなりますとデータも何もあったものではないし、こういう折に低めの変化球に手を出すなでは打者としては全く勝負にもならないわけです。低めの変化球を打ってこその好打者であり一流打者であるわけですな。
もう一つ言うなら、野村ID野球というのは古田という有能な“士官(現場指揮官)”がいたからこそ機能したわけで、古田がいなければ‘野村の教え’は単なる‘野村のひとりよがり’で終ったはず。古田の支えによってしか成し得なかった過去の栄光、これは阪神監督時代の3年連続最下位で明らかなはずなのに、野村氏が再び監督に迎えられたとはもう‘楽天的’としか言いようがないですね。ゲームの前後に2時間も3時間もミーティングして勝てるのなら苦労はおまへんわな、東大やら京大やらから選手引っ張ってきてやらせたらええこっちゃ。もっとも最近の東大や京大というのは頭のおかしい奴や低脳も多いけどね、偽メール事件の永田、その“永田音頭”でブサイクな踊りを披露した前原、こいつら東大と京大やろ。そして、秋篠宮紀子妃殿下を『 のりこ様 』と言うてた同じ政党の前党首も確か東大卒やったねえ。そんなことはどうでもええけども、いずれにせよ、データやお勉強という色のない白黒の世界でセンスが鍛えられるわけないし、なんぼ年とって言う事がしつこくなってきたにせよ、ミーティングに2、3時間はどうかしておりますね、選手の良い所を皆剥奪してしまうのが素人にも理解できることでしょう。野村監督は阪神時代に今岡を殺してしまいかけたのを忘れたのか?今岡は打つだけならイチローもビックリの“感性の打者”。2003年シーズン、闘将星野の下で阪神は久しぶりの美酒に酔いましたが、この年、今岡は首位打者、そして昨年のセリーグ制覇の時は何と147打点という驚異的な数字を残しての打点王。しかし野村監督は、この今岡をボール球打ちすぎ指示通りの球を狙わないということでほとんど2軍暮らしさせたのであったのですねえ。

さあ皆さん、
ボールを目で見ないで体で見る、
これはどういうことであるのか、もうお分かりですね。

ボールを目で見るというのは、ストライクゾーンの球かそうでないか判断するというだけのことであります。こんなことは審判に任せておけばよい。
大事なことは、感じて反応することに他なりません。

改めて考えてみましょう、
皆さん、ダイヤを目で見てないですか?
もちろん、ダイヤモンドも野球のボールも目で見ないと何も始まりません、しかし、
目で見てグレードのみで判断すること、
これは鑑定屋のグレーダー氏に任せておけばよいことなのです。

目で見ないで体全体で感じること、
これが一番大切な部分です。
たとえば、目で見てFancy Pinkであること、
これがどれほどの意味を持つものなのでしょう。
Fancy PinkであるということはFancy Pink、感じることの出来ない人にとっては鑑定屋のグレーダー氏と同じです、単にFancy Pink、それ以上でもそれ以下でもありません。
Fancy Pink以上の意味を持つこと、
それはダイヤモンドを体全体で感じること。

カラーダイヤを愛でるのにイチローのような天才的な感性は必要ないです。
けれども、目で見た以上のことを感じることなしにダイヤを見るならば、それは単なる宝石学、ダイヤ理論。
重要なのは、体で感じたsomethingなのです。

カラーダイヤに対する感性、
それは、ダイヤモンドを見つめる自分をダイヤモンドに投影することです、あるいは、ダイヤモンドを見ている時にダイヤモンドから見られていると想像することです。
そこには厳しいトレーニングも研ぎ澄まされた感覚も不要。
あなた独自の世界が必要なだけ、そして感じようとする努力。
その意識だけで、きっと目で見る以上のものを感じられると思いますし、それまで見えていなかったカラーダイヤの魅力が見え始めるのです。


“九つの人九つのあらそひに
       ベールボールの今日も暮れけり“

                   正岡子規




◆ Back Number ◆
第20話 UKIカラーで綴った枕草子
第19話 古今和歌集ダイヤモンド語訳
第18話 2006W杯 × Fancy Color
第17話 That's Baseball
第16話 トリノの余韻
第15話 “The Aurora butterfly of Pease”
第14話 Fancy June ...
第13話 ウッキー夜話
第12話 『春のダイヤ人気番付』
第11話 2003年 南船場の秋
第10話 「白シャツ」と「白ダイヤ」にご注意。
第9話 初詣
第8話
第7話 日本の色
第6話 オリンピック随想
第5話 お正月に想う
第4話 ブルーダイヤ、高価とは聞いておられるでしょうがどれほど高価なのか・・・
第3話 同じ赤でもピンクダイアとルビーではかなり色に違いがあります・・・
第2話 新しい「誕生ダイアモンド」なるものを設定・・・!!
第1話 『fantasy』で『fantastic』な『fancy world』へ御案内。