◇◆  ファンシー ストーリー第12話  ◆◇


立春から2週間あまり・・・、
梅一輪から春一番、そしてそろそろ三寒四温へと季節が移ろうという時期ではないでしょうか。
球春、春はセンバツからなどと言われますが、3月になると野球の話題で盛り上がるようになりますね。トラキチ・ウッキーはもちろんプロ野球のキャンプ便りやオープン戦が気になって仕方がないのですが、トラキチやっているのは春だけではありませんからね、逆にあまり季節感がない。
それよりも、3月になると大阪では大相撲が開催されます、朝の出勤時に早出の幕下力士を地下鉄構内で見かけるようになる、大きな体を着流しに包んでノッシノッシと歩いているのを見ると、ああ春やなあ、と毎年のように感じるわけです。
朝青龍や栃東を難波の駅で見たって(そんなところをウロウロするわけないですが)季節感はないと思いますが、まだ高校生のような童顔の力士が不安げな表情で歩んで行く姿は何とも微笑ましくて、フレッシュマンの季節を、これから何かが始まるぞ、さあこれからという“開花準備”の3月を感じさせてくれましてね、まだまだ寒い日の方が多い中でホンワカという気持ちになれる、ああ浪花の春やねえ。

大相撲の番付にならって、年が改まりますと前年のヒット商品番付が日経新聞なんかから発表されておりますが、ハッキリ言ってあまりピンと来まへんな。ご存知の方も多いと思いますが、昨年の東西の横綱は‘デジタル家電’と‘昭和’で、我が“阪神タイガース”が西の大関となっておりました。デジタル家電って言うてもいろいろあるやろ、具体的に言わんかい、とかって言いたくなりますし、昭和が終って十数年しか経ってないのに早やレトロかいな、と文句の一つも付けたくなる。東の大関にランクされていた東京のどっかのエリアね、六本木ヒルズか何か知らんけども、ワシら大阪の人間は行ったことないやつが大半や、いつもながら東京中心のモノの見方は気に食わんなetc・・・。
そんなわけで、
どんなわけや?
ウッキーは『春のダイヤ人気番付』を作ってみました。

西
Fancy Pink
横 綱
Fancy Purplish Pink 
Fancy Yellowish Green
大 関
Fancy Intense Yellow
Light Pink
関 脇
Fancy Green Yellow
Fancy Blue
小 結
Fancy Yellow Orange

ダイヤモンドのキラキラ感は当然ながら冬よりも春がお似合い、
人それぞれ好みも違いましょうが、桜色のピンクや菜の花のような黄色、そして若葉のようなグリーンイエロー等など、春を形容するダイヤモンドには事欠きませんね。

東西の横綱は言わずもがな、カラーダイヤはピンクに始まりピンクに終わる、みたいな感じが最近ありまして、もちろんFancy Pinkよりも彩度の高いIntense PinkやVivid Pinkの方が綺麗に決まっておりますが、それらは値段もそこそこ、それならばお買い得なFancy Pink、Fancy Purplish Pinkで、ということだと思います、これらのグレードが付いているものは常に引く手数多、在庫不足という現状であります。
Green 系も春と言わず年がら年中人気商品ですけども、やはり暖かくなりますとこれまで見向きもしなかった人でもフッと手に取ってくれたりする、気分というのは恐ろしいものです。
Light Pinkが何故こんなに高番付なのか、不思議に思われる方も多いかと。
ピンクダイヤのイメージでしょうね。
ウッキーも大好きなのですが、ハラハラするような可憐さが散ってしまいそうな桜を連想させます。そして、Lightゆえに暗さがない、春の日のキラキラしたような陽射し、そんなふうに感じられるのです。
ブルーダイヤですが、これも安ければね、そしてピンクのようにたくさんあれば『綱を張る』ことは間違いないのですが、少なくて高い! また、高くてもいいから・・と言う方もあまりに淡いFancy Blueの素顔を見て躊躇してしまうのが実情のようです。けれども、どういう訳か春になると注文が増えてくるのです、花とのコントラスト、これが綺麗にイメージされるのではないでしょうか。
オレンジのような柑橘系は秋の色という雰囲気ですが、“春先になって元気を出そう”、そんな気持ちになれるような色なんですな、それにまた、どういうわけか春の紫外線で綺麗な色が出る、そのあたりが人気の秘密かと思います。

春、三月をイメージする時にどうしても忘れられないメロディー、歌詞というのがありますね。
ウッキーの世代ですとやはり『なごり雪』、もう30年近く前になるのでしょうね、伊勢正三が作詞作曲、イルカが歌ってヒットしました。
何と言っても詞が素晴らしい、淡い雪が舞い落ちる駅のホームと若い二人、画像が瞬時に頭の中で拡がるのは言うまでもないことですが、あの短い詞の中に彼と彼女のストーリーが凝縮されていて、思わずその前後のことまで想像してしまうのはウッキーだけではありますまい。伊勢氏の鋭く柔らかく繊細な感性は、毎年三月になってラジオからイルカの歌声が聞こえてくる度にこれから先も長く賞賛されることでありましょう。
伊勢正やんの研ぎ澄まされた芸術性は疑うべくもありませんが、4半世紀以上の時が経過してなお多くの人に訴えかけるものがあるというのは、彼が『なごり雪』の中に自らの体験と心情をリアルに綴ったからではないでしょうかね、絶対そうに違いないと思います。

さて、正やんのような感性をウッキーに求めるのは全く不可能ですけれど、ストーリー性に富んだ正やんの詩が普遍でいつまでも愛されるように、愛されるダイヤモンドにはそれ相応のストーリーがある、ということを皆さんはご存知でしょうか。
『なごり雪』のようなわけにはゆきませんが、2,3年前から最近にかけて販売した価値あるダイヤモンドの話を少々・・・。
(なお、文中に登場するダイヤのグレーディングはAGTのものです。)

まず下の画像をご覧になってください。
RedとVivid Pinkなのですが、どちらがどっちだと思います?
どちらがred?どちらがpink? これはpink?でしょうか・・・


弊社HPの読者の方々はいろんな意味でハイレベルですから、ほとんどの方には察していただけていると思いますが、念のために、
向かって左側はFancy Vivid Purplish Pink 右側がFancy Purplish REDなのです。
昔は良かった・・なんて言うつもりはサラサラございませんが、かつてのVivid Pinkはこんなだったのですね、まさにSuper Vividや! REDと比べて何の遜色もない! 見ようによっては左側の方がREDっぽいですし、何人かの方は“赤は左”(つまらんしゃれを言うてるつもりはないのですが)と思ってくれたに違いないと確信します、ウッキーだって恐らく悩んだことでしょう。
REDのお話ではございません、ヴィヴィドピンクのお話です、念のため。
2001年の12月の買い付け商品、画像のものは0.144crtのSI2、同時に10個ほど同カラーグレードのモノを買っておりますがこれが頭一つ抜けておりました。
いずれにしましても、Vivid Pinkはその頃日本国内になんぼも入って来てなかったと記憶しておりますし、ウッキーが初めて買ったVivid Pinkでございました。
この何年も前からカラーダイヤに染まっておりましたから、何故この時が初めてだったのかと自分でも不思議に思えてこないでもないのですが、多分それまでもチャンスは結構あったに違いないでしょう、しかしながら買い付け商品はFancy Pink中心で、と言いますのはFancy Pinkがあれば十分であったし、その下のグレードであるFancy Light PinkやFancy Brownish Pinkも良い値段で売れましたから、わざわざ高いリスクと金額を払ってまでIntenseやVividを扱う必要はなかったということだと思います。ところが、急にArgyleからのピンクダイヤ供給量が減ってしまいましてね、Fancy Pinkの絶対量が不足、毎月の売上を維持していくためにはハイグレードなモノまで売買せざるを得なくなったと言う訳なのです。
それまではIntenseが最高のグレードと思っておりましたからVividなんてよもや自分自身が買い付けるなんて夢にも思わなかったのですが、AntwerpのSの事務所でこの商品を見た瞬間に『これがVividや、絶対に!』と確信しましたね。ご覧のように、クールに燃えるような赤紫です、グレードは全く問題がない、当然ですね、最近グレーディングされたAGTのRED(右側の画像)と見分けがつかないほどなのですから。当時、私を含めた日本人ダイヤモンドディーラーがIntenseさえも良く判っていなかったとは言え、圧倒的な格の違いは見紛いようがない。しかし値段がね、とてつもない高さ! こんな時のバイヤーは孤独です。相談するにも過去のデータがほとんどない商品、日本に電話して聞いたところでVividを知っていそうな奴は多分皆無、れいのBelieve meじゃないけれど、ホンマそんなユダヤ人の言葉でも信じとかないと仕方がないような状況でございました。ウッキー異例の長考、2時間くらいの間でしょうか、ああでもないこうでもないと思いながらこのVividを眺めておりましたなあ。
それで、最後いったい何が決め手になった?
Argyleのブローカーが持って来た商品なのですが、そいつの表情が『お前には売りこなせまい』と言っているような気がしましてね、それに対する大いなる挑戦?!とでも言っておきましょう。

Lord of The Rings、ヴァレンタインデーの日に封切られたそうですが、ご覧になった方も多いかと。
今回のは3部作の最後のものらしいですね。最初出た時は訳もわからずジュエラーとしては絶対に見ておくべきと思ったものです、しかし想像していたような“軟弱業界人”の話ではないというのが解りましてウッキーはガッカリ、またもや映画館から足が遠のいた次第です。
映画やドラマにすぐ感情移入してしまう我が家の女どもは、『あれはサッカーの日本代表戦を見るよりも疲れる』などと言うておりますが、ウッキーはやっぱりメジャーリーグやNFLの方がいい、なんのこっちゃ、ようわかりまへんな。
その『指輪物語』、あらすじを聞きますと、くだんのRingにはとんでもないパワーが宿っていて、その奪い合いの話なんだそうですなあ。宝石屋の端くれとしましては、ただの金の指輪やろ、そんなもんナンボでもあげるがな、とは言いませんが、やっぱりダイヤモンドの方がパワー出そうな気がするのであります。
中東の暴力団組長が米軍に穴倉から引き摺り出されてア〜ンと開けた口にペンライトを突っ込まれていた姿はホームレスの老人よりもミジメなものでありましたが、そのちょっと前に“フセイン流出ダイヤ”の話で業界が盛り上がったことがございました。バクダッドに一番乗りの米軍兵士が大統領宮殿の金庫を開けてポケットに入れてきたのか、はたまたホームレスに成り下がったオッサンが命と引き換えにバラ撒いてきたのか、まあそんなところでしょうが。
このオッサンが指輪物語を知っていたとは思えませんけども、とんでもないジュエリーコレクションだったそうです。長年に渡って周辺のアラブ諸侯をミサイルで脅して巻き上げた強奪品であろう10カラット近くから25カラット超の大粒ブルーダイヤが30個近くあったそうで、その一部が日本にも上陸していたとか。
あんなクソッタレ野郎でもブルーダイヤの値打ちを知ってたんやねえ。
というところで、
Lord of the Diamonds、ブルーダイヤの逸品を。


Fancy Vivid Blue VS2 0.153crt
REDよりも希少なのがVivid Blueなんです。

ウッキーはこれまでにたったの3つしか売買しておりません。
これは二つ目のものだったのですが、何故これが一番印象深いのかと申しますと、
青が迫り来る、というような気持ちにさせられましたし、写真撮影時にカメラもそのように反応したのです。
写真をご覧になって、ハートの形が歪(いびつ)じゃないかと思う方も多分いらっしゃるでしょう。ところが事実はそうではない、確かにプロポーション抜群ではないですが普通の体型、撮影の角度が真正面からずれているのでこのように見えるのです。正確に言いますと、カメラのレンズをややハートの先端方向にずらし、なおかつやや左側から撮影したということなのです。
Why?
ほぼ真正面からの画像は、青の強い照り返しで実際の色が出なかったのです。
いやホンマ、このダイヤの持つパワーを実感しました。
もうひとつ印象深いのはAntwerpのSの言葉。
このような商品は買付けの時にタイミングよくあるというようなものではありませんから、常々Sに『あったら直ぐに連絡しろよ』と言い含めてあるのですが、彼がこれを見つけてTELしてきた時の言葉は今でもよく覚えております。
“So beautiful !!!”
“Believe me”ではなくて“So beautiful”、
これを100連発くらいしておりました。
彼はわりと慎重と言いますか、だいたいどんな商品でもウッキーよりも厳しいグレーディングをするのです。そんな奴が言うのだから間違いないだろうと見ずに買い決めたウッキーでございました。
ああ、Fancyやねえ。


右の画像二つのオレンジですが、
あなたはどっちがお好み?
ウッキーは?
そりゃもちろん左側、ほんの一時保有者でございましたから。
右は米国ハリーさんの持ち物、
Fancy Vivid Orange(GIA)でございます。
どうせお化粧画像やろうな、写真写り良すぎるぞ! えっ、なに? 勝手に画像使ったらアカンやろうって、スンマセンお目こぼしを、全てはダイヤ業界発展のためでございます、お代官様。
ものの本によりますと、ハリーさんはこのダイヤをハロウィーンの前日に手に入れたそうで、見事な色を印象付けるため“パンプキン”と名付けたとか。
アメリカのカボチャちゅうのは変な色やねえ、日本のカボチャがこんな色やったら子供たちはますます食べんようになるな、と言いつつも、
そして左は“UKIパンプキン”な〜んてね、Fancy Deep Orange 0.504crt SI2 、ウッキーが先月扱った商品です。

Vivid, Intense, Deep、どのような彩度でもAGT or GIAで所謂ピュア(純色)Orangeのグレーディングがされたものはごく最近までこれら二つ以外に知りませんでした。
Orangeという色の定義は難しいですね。
我々ダイヤモンドのトッププロが『これはホンマに綺麗なオレンジや!』と興奮するような色であってもAGTなど所謂Aクラス鑑定屋ではほとんどの物が‘Fancy Yellowish Orange’などとされてしまう。恐らく、一般的なオレンジ色というのはオランダのナショナルカラーのような色を言うのだと思います。しかし、天然の物で(宝石に限らず)あのようなOrangeがあるのかどうか? おそらく見つかりますまい。オレンジと呼ばれる柑橘系を思い浮かべてみてください、それらは日本のミカンを始めとしてサンサンと降り注ぐ太陽の光を一杯に浴びたような多分にYellowishなもの。しかしながら逆にそれがまた良いわけで、オランダサッカーチームのユニフォームのような色の果物があっても食べてみようとはあまり思わないような気がしますね。

真昼の太陽がホンマに赤や黄色に照っていたらかなり怖いと思いますが、♪真っ赤に燃える太陽だから・・・という古い歌もありました、また、徹夜の仕事明けで黄色く見える太陽を拝んでる方もいらっしゃるに違いない。照っている太陽に色は見えませんが、子供の頃、太陽を描けばREDかOrangeかYellowかのどれか、あるいはそれらを混ぜて色を付けたことと思います。
そのようなことを思い出しながら、もう一度上の写真を見ていただきたいと思います。
誠に陳腐な表現ながら、
“太陽の恵み”
これがAGTとGIAによるFancy Deep OrangeFancy Vivid Orangeのグレーディングの決め手になったのではないでしょうか。
僅かに感じられる黄色味と圧倒的な赤味、しかしこの赤味は紅ではないし朱でもない、微妙に黄色が混ざりこんだ太陽色のスマイル、そのあたりがピュアオレンジのポイントではないかと思われます。

さてこのDeep Orange、ウッキーの輸入品ではなくて近所の輸入屋仲間からの仕入れ、しかも世間話のついでという感じで見せてくれた商品だったです。たまたまその少し前に、とある刊行物で上のVivid Orangeを見ておりましてね、『こんなようなものがあったらなあ・・』と夢想していたところにこれが来た! 
もちろんVividの方は現物を知らないのですが、Deepを見た瞬間に頭の中で何かが点滅したのです、チカチカチカってね。
“Synchronize”
これが一番ピッタリとくる言葉でしょう。
シンクロナイズト・スイミングのシンクロです。鼻栓しないといけないと感じながらDeep Orangeに見とれるウキ氏、全く絵になりまへんが、へえーという表情のバイヤー氏には感動を与えられなかったようですが、ウッキーはまさに興奮状態、なにせそのDeep Orangeと雑誌の中のVivid Orangeがウッキーの硬い丸い頭の中で同調していたのですから。
これやからファンシーカラーはやめられまへん。

ピュアなOrangeの数百倍難しそうなのがピュアGreenです。
皆さんよ〜くお解りのことと思います。
AntwerpのL氏の事務所にでも行けば見せてくれるかもしれませんが、手に入れるとなると大変、1カラットくらいですと100万ドル、¥ではなくて$、それ一つ買って帰ってHP載せて寝て待ってよか、などという生活が出来ればもうウッキーはもうたまらなく幸せなんですがね。
そんなアホな夢物語はまたの機会にして、下の写真をご賞味下さい、本日のトリ。

Fancy Vivid Green Yellow 0.510crt VVS2

Green系ダイヤというのは不思議でね、いろいろと二つ名を頂戴しておりますモノもある。
カメレオンが有名ですが、ツムラの入浴剤がお好きな方もたくさんいらっしゃるようで・・・。
ウッキーはどうもあのバスなんちゃらという呼び方が気に食いまへん、そりゃまあ判り易いですがね、
『バスなんとか色のグリーンダイヤありませんか』などと聞かれると『白いダイヤを入浴剤に漬けときなはれ』と言いたくなってくる。グリーンのトリートはそのような方法で製造しているのですから。
ウソやろって? やってみたらエエやん。

さて、当“業界人”というのはホンマ軟弱、お前ら骨あるんか、と言いたくなる奴のオンパレードなのですが、時々面白いことを言うオッサンに巡り合える、独特のフレイズを持っているオッサンです。
『活きのええの売ってくれ!』
などと言う。
ダイヤモンドは腐るものではありませんね、しかし、オッサンが言うように確かに旬があるのです。
もちろん、彼が言っている半分くらいの意味は『買い付けてきたばかりのフレッシュGoods』ということなのですけども、それだけではダメなのです。言葉通り鮮魚のように“活き活き”と感じさせてくれるものがないとね。
確かに、ダイヤが生きている、と感じる時があります。
ルーペで見ても心臓は見えないのだけども鼓動が聞こえる、
大阪の漫才師に『そんな奴おらんやろ』と言われようが、そんな気になる瞬間がある。
どんなダイヤモンドが我々プロをそう思わせるのか、
単に彩度が高いとかカットがよいテリが良いということではありません、それらも重要なポイントである事は間違いないのですが、ウッキー的な表現を使うなら、感動で言葉にならないのではなくて、
“言葉になる”“言葉に綴りたい”
そういうふうに思えるダイヤです。
生きてるからこそ言葉になるのです。
『風が薫る』、『春の足音がする』などという表現があるのですから『ダイヤの鼓動が聞こえる』と言ったって何の不都合がありましょうか。
このダイヤを見た瞬間はまさにそれ。
ピュアではないけどもリアルなグリーン。
こんなダイヤであればグレーディングなんてどうでもいいわけで、“真に迫った、生きているような、生命感あふれる”というVividの言葉の意味までも生まれながらにして引き連れてきていた、そんな様子がありありと表情に浮かんでおりましたね。
昨秋の取扱商品ですが、何の迷いもなく仕入れたのをしっかりと記憶しております。
しかし、少し心残りな事がありましてね・・・
このダイヤが春を迎えたらどんな表情になるのか、見てみたかったなあ。

今回登場したダイヤの現保有者の皆様、ご協力ありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げますとともに、伊勢正やんのような鋭いタッチで皆様のダイヤを描写できませんでしたこと深くお詫び申し上げます。
しかしながら、ウッキーのダイヤモンドに対する想いは皆様に決して劣るようなものではございません。それだけはどうか評価下さいますようお願いします。

今年は閏年ですが、2月は毎年とても短く感じませんか。
季節の移り変わりがはっきりと見えるからかもしれませんね。
3月になれば大きな事小さな事、いろいろと決断をしないといけない方もたくさんいらっしゃるに違いない、試験の結果をドキドキしながら待つこともあろうかと。
そんな緊張感、期待感も3月の大きな魅力ですね。
Fancy Color の魅力はまさにそれ。
光によって見え方が違うという緊張感、季節によって何となく表情が変わるという期待感。
それだからファンシーカラーは皆さんを魅了するのでしょうね。
お手持ちのカラーダイヤ、春色を存分にお楽しみください。






◆ Back Number ◆
第20話 UKIカラーで綴った枕草子
第19話 古今和歌集ダイヤモンド語訳
第18話 2006W杯 × Fancy Color
第17話 That's Baseball
第16話 トリノの余韻
第15話 “The Aurora butterfly of Pease”
第14話 Fancy June ...
第13話 ウッキー夜話
第12話 『春のダイヤ人気番付』
第11話 2003年 南船場の秋
第10話 「白シャツ」と「白ダイヤ」にご注意。
第9話 初詣
第8話
第7話 日本の色
第6話 オリンピック随想
第5話 お正月に想う
第4話 ブルーダイヤ、高価とは聞いておられるでしょうがどれほど高価なのか・・・
第3話 同じ赤でもピンクダイアとルビーではかなり色に違いがあります・・・
第2話 新しい「誕生ダイアモンド」なるものを設定・・・!!
第1話 『fantasy』で『fantastic』な『fancy world』へ御案内。