◇◆ ファンシー ストーリー第4話 ◆◇ |
小泉総理の青いシャツはおしゃれでしたね。襟元から見える白のTシャツもなかなかよかったと思います。聞くところによると総理のカジュアルの服装センスは最悪ということで、例えば日曜日など総理公邸で休みを取っているときなどはピンクのシャツに黄色のズボンをはいているとか。まったくカラーダイヤの宣伝にでも使いたくなりますが、本人にしてみれば大真面目、ブッシュ大統領との首脳会談に赴く直前にも私的なパーティがあり、そのときのラフなウェアは自民党の長老もびっくりの流行おくれなゴルフウェアだったといいます。 しかし世の中皮肉なものと言うか、服装センスの悪い首相のために側近が慌ててそろえてきたラルフローレンのシャツがそのセンスの悪い首相のおかげで大ヒット、なんていうのは誰が予想できたか。ラルフローレン社幹部にしてみればまさに青天の霹靂、流通業界の面白さを垣間見せてくれます。さて首相がもし白のシャツだったとしたらどうだったでしょう。たとえ有名ブランドを着ていたとしても誰も話題にもしなかったでしょうし、逆に不評を買ったかも知れません。まさにあのファンシーインテンスブルーの勝利ですね。ファンシーカラー屋としては我意を得たり、という心境です。 |
というわけで本日のテーマは『ブルー』。 このシリーズを最初から読んでいただいている方でしたらお分かりでしょうが、残念ながら小泉総理のシャツようなブルーはダイアにはありません。ところが、数年前あざやかなブルーダイアが小さなブームになりました。もちろんこれは天然の物ではありません。素材は天然ダイアなのですが、放射線の照射により鮮やかな青をつけたのです。やや黄色とかやや茶系とかのダイアを処理した物ですから当然高価ではなく、無色透明のものよりも安かったように思います。しかし、放射線処理と言うイメージの悪さと本物志向という消費者の傾向によりいつの間にやらあまり話題にもされなくなりました。 100%天然のブルーダイアは海の色に近いという気がします。アクアマリンとかブルートパーズの青とは色調が違います。世界地図を見てください。 |
皆さんのは当然日本が中心に来る大平洋がどんと広がっているやつですね。これを見ていると日本が極東と呼ばれているのが釈然しませんね。私もヨーロッパに行って0度の子午線が真中に来ている世界地図を見て -これですと日本が右の端に位置します-
やっと from far east を実感できた経験があります。どちらの地図が良いのかと言うことは別にして、私の部屋には欧州中心の物が貼ってあるのですが、これで眺めていますと日本が実際よりも大きくなっています。どういう事かと言いますと、球形の地球を平面に表すわけですから当然端のほうが実際よりも広がってしまうという訳です。 37万平方キロの日本が55万平方キロのフランスよりもかなり大きく見えます。グリーンランドが地図からはみ出しているのと同じ理屈ですね。 |
時々、我が国が欧州各国からいわれなき非難を浴びるのは奴らの使っている欧州中心の地図にも問題がある、という気がします。 まぁそれはどうでもいいのですが、約7割を占める大洋の色を見てください。深度によって色分けがしてあると思います。中国の大陸棚から沖縄にかけて、これが『Very Light Blue』ですね。次に、インド洋の楽園モルジブ、モーリシャスあたりが 『Light Blue 』北大西洋のなかば、ちょうどタイタニックが沈んだあたりの色は『Fancy Light Blue』かな。また、南太平洋の島々、サモア、タヒチのあたりが 『Fancy Blue』、そして世界最深部日本海溝からマリアナ海溝が『Fancy Intense Blue』『Fancy Vivid Blue』です。 タイタニックとはお近づきにはなりたくはないですけども、ライトブルーのモルジ |
ブ、ファンシーブルーのタヒチ、どうですか、JTBのCMコピーに使えそうですね。 |
ところでこのブルーダイア、高価とは聞いておられることでしょうがどれほど高価なのか。 このシリーズではそのように俗な話はできるだけ避けようと思っていたのですが、皆さんも知りたいでしょう。少しだけご紹介します。仮にここに5つの100%天然果汁が、いや違った100%天然ダイアがあるとします。いずれも重量は0.3カラットでクラリティーはVS1、ラウンドブリリアントでカットの総合評価はGoodとしましょう。カラーの違いにより平均的な小売店の販売価格はおおまかに以下のようになると思います。 |
1
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Fancy Blue | \2,500,000 |
2
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Fancy Pink | \1,200,000 |
3
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Fancy Yellow | \200,000 |
4
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D color | \150,000 |
5
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Fancy Brown | \60,000 |
みなさん、もうファンシーカラーやめてまともなDとかEとかの無色透明のものを選択しませんか、ですよね。ひどいとは聞いていたがこれほどとは...。やはりタヒチは遠い、近くの海で我慢か。ますます暑い夏になりそうです。 どうしてそこまでブルーにこだわるのか。 『青』が使われている漢字を皆さんはどれほどご存知ですか? 『清、静、靖、精、情』などが主なところではないでしょうか。 あまり説明の必要もないいい感じ(漢字)ばかりのような気がします。これらのいくつかを使った熟語を見てみましょう。 『清 川』 - 晴れ渡って遠くまで見渡せる川 『静 遂』 - 静で奥が深い様子 『靖 国』 - セイコク、国を静めること 青(ブルー)というのはとにかく冷静な判断とかクールな様子とか平和とか、実にプラスのイメージが強い。サッカーの日本代表のユニフォームの青もいいですね。実際、私の経験ではブルーのダイアを買い付けしている時の失敗はほとんどないという実績があります。高いからそれだけ慎重になるのだろう、という見方ももちろんありますがそれだけではないと思います。見ているうちにやっぱりやめた、となるケースが非常に多いからです。急に気分が醒めるのですかね、ブルーを見ているうちに。 そうです、若い女性の皆様、男と付き合う時はぜひブルーダイアの指輪をして臨んでください。そうすればきっと相手を冷静に判断できるに違いない。そして、結婚するカップルが減り婚約指輪の売上も減る、我々の業界にとって全くプラスにならない企画になってしまいそうです。 |
◆ Back Number ◆ | |
第20話 | UKIカラーで綴った枕草子 |
第19話 | 古今和歌集ダイヤモンド語訳 |
第18話 | 2006W杯 × Fancy Color |
第17話 | That's Baseball |
第16話 | トリノの余韻 |
第15話 | “The Aurora butterfly of Pease” |
第14話 | Fancy June ... |
第13話 | ウッキー夜話 |
第12話 | 『春のダイヤ人気番付』 |
第11話 | 2003年 南船場の秋 |
第10話 | 「白シャツ」と「白ダイヤ」にご注意。 |
第9話 | 初詣 |
第8話 | 秋 |
第7話 | 日本の色 |
第6話 | オリンピック随想 |
第5話 | お正月に想う |
第4話 | ブルーダイヤ、高価とは聞いておられるでしょうがどれほど高価なのか・・・ |
第3話 | 同じ赤でもピンクダイアとルビーではかなり色に違いがあります・・・ |
第2話 | 新しい「誕生ダイアモンド」なるものを設定・・・!! |
第1話 | 『fantasy』で『fantastic』な『fancy world』へ御案内。 |